言葉のプロ、電通のコピーライターである梅田悟司さんが、文章力を磨くためにはどうすればいいかを書いた本。
梅田さんの答えは、すでに冒頭に載っています。
「言葉が意見を伝える道具ならば、まず、意見を育てる必要があるのではないか?」
「言葉は思考の上澄みに過ぎない」
「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」
いい文章を書くためにはまず思考を深めないといけないよ、と言っているんだね。
じゃあその思考を深めるためにはどうすればいいんだろう。
「内なる言葉」と「外に向かう言葉」
言葉は誰かに自分の考えを伝えるためにあります。「伝わる」には次のようなステップがあると著者は言います。
- 不理解・誤解
- 理解
- 納得
- 共感・共鳴
理解してもらえれば合格点。でもできれば相手に納得してもらいたいし、さらに共感してもらえたら嬉しいですね。
そのために必要なのは、書いたり、話したりする「外に向かう言葉」を磨くことよりも、まずは自分の頭の中にある「内なる言葉」に幅と奥行きを持たせることなのです。つまり、自分の意見を育てること。
自分の意見を育てるためには、どんな瞬間に、どんな「内なる言葉」が浮かぶかを意識し続けることが大切です。
「思考サイクル」で考えを深める
頭の中に浮かんだ考えを意識して「内なる言葉」を認識したら、次は、その「内なる言葉」を磨きます。
「内なる言葉」を磨く唯一の方法は、考えていることを強く意識した上で、頭に浮かんだ言葉を書き出すこと。書き出すことで、頭が整理され、俯瞰的に見ることができます。
気持ちをはっきりと認識できたとき、言葉は自然と強くなる。
- とにかく書き出す(アウトプット)
- T字型思考法(なぜ?それで?本当に?)
- 同じ仲間を分類する(グルーピング)
- 足りない場所を埋める(視点の拡張)
- 寝かせる(客観性の確保)
- 真逆を考える(逆転の発想)
- 違う人の視点から考える(複眼思考)
このサイクルを繰り返すことで、「内なる言葉」は磨かれていくそうです。
プロの「言葉にするプロセス」
思いをさらけ出すためにはいくつかのテクニックがあるようです。
日本語の「型」を知る
- たとえる(比喩・擬人)
- 繰り返す(反復)
- ギャップをつくる(対句)
- 言いきる(断定)
- 感じる言葉を使う(呼びかけ、誇張・擬態)
言葉を生み出す「心構え」
- たった1人に伝わればいい(ターゲッティング)みんなに伝えようとすると誰にも伝わらない
- 常套句を排除する(自分の言葉を豊かにする)
- 一文字でも減らす(先鋭化)
- きちんと書いて口にする(リズムの重要性)読みにくい言葉は心に入ってこない
- 動詞にこだわる(文章に躍動感を持たせる)動詞には意志が宿る
- 新しい文脈をつくる(意味の発明)
- 似て非なる言葉を区別する(意味の解像度を上げる)
まとめ
人の心に響く言葉を書くためにはどうすればいいか、わかりやすく説明されていました。これまでに読んだ文章術の本よりも、かなり実践的な内容でした。だいぶ前に読んだのですが、今回再読してよかったです。
『20歳の自分に受けさせたい文章講義』や『いますぐ書け、の文章法』も、文章を書く上でとても参考になるのでおすすめです。
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