【おすすめ】10歳の少年が主人公の小説おすすめの3冊

10歳の男の子の成長は、小説の題材としてよく登場するテーマのように思います。とくに、小学5年生の夏休みの経験を描いた物語など。

小学校高学年というのは、発達心理学的に見ても、それまでの具体的思考から抽象的な思考ができるようになり、自分と他人とを客観的に見ることができるようになる大事な時期だそうです。

9歳以降の小学校高学年の時期には、幼児期を離れ、物事をある程度対象化して認識することができるようになる。対象との間に距離をおいた分析ができるようになり、知的な活動においてもより分化した追求が可能となる。自分のことも客観的にとらえられるようになるが、一方、発達の個人差も顕著になる(いわゆる「9歳の壁」 )。身体も大きく成長し、自己肯定感を持ちはじめる時期であるが、反面、発達の個人差も大きく見られることから、自己に対する肯定的な意識を持てず、劣等感を持ちやすくなる時期でもある。

子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題 文部科学省

これまで読んだ小説にもいくつか10歳前後の少年が主人公のものがあったので、私の好きな作品を3つご紹介したいと思います。

目次

『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦

めちゃくちゃ好きな作品です。たぶん今まで読んだ小説で一番好きと言っても過言ではありません。

一番最初はオーディオブックで聴きました。声優さんの安國愛菜さんが素晴らしくて何度も聴いて、それから原作小説を買って読み、アニメDVDも買いました。

小学4年生のアオヤマ君の街に突然ペンギンが現れます。大好きな歯科医院のお姉さんがどうやらそのペンギンに関わっているらしい。また、森の奥の空き地に出現した「海」についてクラスのウチダ君とハマモトさんと一緒に研究を始めます。ペンギンとお姉さんとの奇妙な関連性とは??

アオヤマ君が常に持ち歩いているノートも興味深いし、乱暴者のスズキくんとの関係もいい味を出しています。

ラストには、アオヤマくんが少しだけ大人になっていて、母親目線で見守っていた私は、少しさみしくもなってしまいました。

「アオヤマ君、泣いてるの?」
「ぼくは泣かないことにしているんだ」
お姉さんに言ったとおり、ぼくは泣かなかった。

ペンギン・ハイウェイ

『しずかな日々』椰月美智子

小学5年生の枝田くんは、お母さんと二人暮らし。もともと寡黙で友達もいなかったけど、新しいクラスになって明るい押野くんと友達になり、毎日が急に楽しくなります。そんな時、お母さんが新しい仕事をするために引っ越すことに。せっかく友達もできて学校が楽しくなったところだったので、転校しなくていいようにおじいさんの家に一緒に住むことになります。

転校したくない、と担任の先生の前で黙って涙を流すシーン。

おじいさんの炊いたおいしいご飯と漬物を一緒にしみじみ食べるシーン。

久しぶりにお母さんに会った時、前ほど無邪気に喜んでいない自分に気づくシーン。

初めてできた友達と自転車で遠出したり、お泊まりしたり、いろんなことがあった5年生の夏休みですが、タイトルの通り全体的に静かなトーンで物語は進みます。そのため余計に、主人公の心の動きが引き立っていました。

おじいさんと一緒に過ごした日々は今のぼくにとっての唯一無二の帰る場所だ。だれもが子どもの頃に、あたりまえに過ごした安心できる時間。そんな時がぼくにもあったんだ、という自信が、きっとこれから先のぼくを勇気づけてくれるはずだ。

しずかな日々

『夏の庭』湯本香樹実

6年生の「ぼく」は、「人が死ぬってどういうことだろう、死んだらどうなるんだろう」ということが気になってしょうがなくなります。町外れに暮らすあるおじいさんがもうすぐ死ぬらしい、という話を聞いて、そのおじいさんが死ぬ瞬間を見るために、友達と夏休みの間観察することにします。

人が死んでいく様子を見たくて通っていたはずなのに、なぜか洗濯物の干し方や植物の名前を教えてもらったり、戦争の話を聞いたり、いつの間にか本当のおじいさんと孫のように交流している小学生たち。

そしてついにおじいさんが亡くなってしまった時、目的が果たせたはずなのに、小学生たちが感じた気持ちとは・・・

「オレ、もう夜中にトイレにひとりで行けるんだ。こわくないんだ」
ぼくと河辺は一瞬、拍子抜けしたけれど、その時、山下が叫んだ。
「だってオレたち、あの世に知り合いがいるんだ。それってすごい心強くないか!」

夏の庭

まとめ

10歳前後の少年は、短い期間にすごく成長するんだなと改めて感じました。夏休みの前後で顔つきもすっかり変わってしまうような。

息子がちょうど今小学6年生なので、こういう小説はどうしても母親目線で読んでしまって、「まだまだ子供でいてほしいな」というちょっと寂しい気持ちにもなって複雑なのですが。小説で読む少年の成長ってやっぱりいいものだなと思いました。

『ペンギン・ハイウェイ』はAmazonのオーディオブックサービス、Audibleで聴きました。

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