【論文】妊産婦の自殺企図について

Suicide Attempts Among Pregnant and Postpartum Women in Japan: A Nationwide Retrospective Cohort Study
Daisuke Shigemi et al.
J Clin Psychiatry 2020;81(3):19m12993
DOI: 10.4088/JCP.19m12993

目次

Abstract

Objective:精神疾患を持つ妊娠中および産後の日本人女性で、自殺企図によって入院した患者さんの特徴を明らかにすること。
Method:急性期入院患者のDPCデータベースを用いた全国的後ろ向きコホート研究。2016年1月から2018年3月まで参加施設に入院していた精神疾患のある全ての妊娠中および産後の女性を対象とした。自殺未遂、自傷行為のリスクファクター、母体アウトカム、その他の特徴を調査した。
Result:3286人(妊婦3026人、褥婦260人)のうち、22人の妊婦と16人の産後女性に自殺未遂があった。妊婦(0.7%)より産後女性(6.2%)で自殺未遂は明らかに多かった(<0.001)。産後の患者では30歳以上、うつ病が多い傾向があった。wrist cutが妊娠中の患者の自殺未遂の主な手段だった。一方、hangingは産後患者の主な手段だった。3人の産後患者が入院中に死亡した。
Conclusion:産後患者は妊娠中の患者に比べて、状態が重く、より致死的な自殺未遂方法を選ぶ傾向がある。

Background

妊娠中・産後1年までに死亡した女性の死因1位は自殺です。

人口動態統計(死亡・出生・死産)から見る妊娠中・産後の死亡の現状
https://www.ncchd.go.jp/press/2018/maternal-deaths.html

産後に過度の悲しみや抑うつが起きることはよく知られるようになってきましたが、残念ながら自殺に至ってしまうケースもあるのが実情です。

どんな人にも起こり得ますが、産前からうつ症状がある場合はリスクが高くなります。

自殺しようとして未遂に終わった症例はとくに把握が難しいうえに、自殺企図のある患者さんは、次には自殺を完遂するリスクが非常に高いため、未遂の段階でしっかり把握してフォローすることが大事になります。

アメリカでの調査で、妊娠中の自殺企図は10000人中に4人と報告されていますが、日本での状況は明らかとなっていません。

この論文では、自殺企図で入院した妊産婦の特徴を調べていて、妊娠中の患者さんと産後の患者さんでは自殺企図の手段が異なり、産後女性の方が確実な方法をとる傾向があることがわかりました。

Summary

産後女性はうつ状態になるリスクが高く、自殺企図もありえるということを理解し、ハイリスク症例には専門医への紹介や、家族だけでなく地域みんなでの見守りが必要と考えられます。

妊産婦を診療してくれる精神科はこれまでは少なかったですが、近年周産期メンタルヘルスが注目されてきており、徐々に増えている印象はあります。

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