【論文】地域のソーシャルキャピタルと乳児への身体的虐待

Neighborhood social capital and infant physical abuse: a population-based study in Japan
Takeo Fujiwara et al.
Int J Meant Health System (2016) 10:13
DOI:10.1186/s13033-016-0047-9

目次

Abstract

目的:地域のソーシャルキャピタルと乳児への身体的虐待との関係を、4か月健診に来た女性の集団サンプルを用いて検討すること。
方法:4か月健診に来た女性にアンケートを行った(n=1277、有効回答率80%)。地域に信頼感(ソーシャルキャピタル)があるかと、ソーシャルネットワークからサポートを得られるかどうかについて質問した。過去1か月における身体的虐待(ぶつ、強く揺さぶる、口を塞ぐ)の有無を自己申告してもらい評価した。
結果:4か月児に対する身体的虐待の発生率は9.0%(95%CI 7.6-10.7%)だった。地域に信頼感がある女性では、そうでない場合と比べて身体的虐待があると答えた割合が少なかった(OR0.25, 95%CI 0.06-0.97)。さらに、ソーシャルネットワークの支えがある女性は、そうでない女性に比べて身体的虐待があると答えた割合が少なかった(OR 0.59, 95%CI 0.36-0.99)。
結論:個人的なソーシャルネットワークに加えて、地域への社会的信頼が、乳児への身体的虐待に独立して関係していた。乳児への虐待を防ぐためには、孤立している母親のソーシャルネットワークを強めることに加えて、コミュニティの社会的きずなを強める介入を検討すべきである。

Background

地域への信頼(ソーシャルキャピタル)が乳児への身体的虐待を防ぐのではないか、という研究です。

ソーシャルキャピタル(社会関係資本)とは、信頼・規範・ネットワークといった社会組織の特徴を指し、物的資本、人的資本と並ぶ新しい概念とされています(厚生労働省資料)。日本では昔から、ご近所さん同士のお付き合いや助け合いの文化があり、震災の後などもお互いに助け合う姿が見られました。

日本では、つきあい・交流、信頼、社会参加の3つの分野における統合指数を合計したソーシャルキャピタル指数というもので評価するようです。例えば、ソーシャルキャピタル指数が高いほど合計特殊出生率も高い、という調査結果もあります。

この研究では、「あなたの地域の人たちはお互いを信頼していると思いますか?」という質問に「そう思う」「いくらかそう思う」「あまりそう思わない」「思わない」の4段階で答えてもらい、それを地域への信頼度と分類しました。

また、「地域に相談できる人がいますか?」「地域に子育てを手伝ってくれる人がいますか?」という2つの質問のうちどちらかに「はい」と答えた人は、地域にソーシャルネットワークの支えがあると分類しています。

まとめ

私は近所付き合いが密な田舎の地域で生まれ育ちました。そんな濃厚な近所付き合いが苦手で関東に出てきたという側面もあります。ただ、子育てをしていく上では、実家が近くて、昔からの知り合いもたくさんいる地域の方がしやすいのかなあという気もしています。

地域で孤立している母親は育児に不安を持ちやすく、思うようにいかないときに思わず子供に手をあげてしまうことが、地域に信頼のある母親よりも多い、というのは納得できる結果です。やはり、子育ては地域全体で支えていかなければいけないよなあと思いました。

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