【レビュー】台湾に日本の新幹線を走らせる。『路(ルウ)』吉田修一

「走れ!走れ!走れ!」

2012年刊行の吉田修一さんの小説。

台湾に新幹線を走らせる。日本人と台湾人が協力してそんな一大プロジェクトを成功させるまでの物語です。

プロジェクトを手がける日本商社で働く春香。

春香が学生時代に台湾へ遊びに来たとき偶然出会った台湾人青年・エリック。

日本と台湾の考え方の違いに翻弄される日本人商社員・安西。

新幹線の整備士になったやんちゃな台湾人青年・陳威志。

台湾で生まれ育ち、終戦後日本に帰ってきた老人・葉山勝一郎。

それぞれの登場人物に、それぞれのストーリーがあり、みんな悩みながらも前へ進んでいく姿が眩しい小説でした。

目次

台湾新幹線

台湾に日本の技術を導入した新幹線が走っているということを、私はこの本を読むまでまったく知りませんでした。

台北ー高雄間345kmをつなぎ、それまで4時間かかっていたところを90分で移動できるようになったそうです。

当初2005年10月開業予定でしたが、海外で多国籍企業による合同プロジェクトということから来る調整の難しさなどから、最終的には2007年1月に開業となりました。

中心に据えられている新幹線プロジェクトについては、ノンフィクションとしても楽しめました。

台湾の空気感

この小説には台湾の街並みや屋台、そして檸檬汁、排骨飯、辣醤鶏、グァバ、パパイヤなどの美味しそうな食べ物がたくさん出てきます。

亜熱帯の湿度の高い空気、おおらかで開放的な人々。幸せそうな道端の動物たち。

私は台湾には行ったことがないのですが、その空気感が伝わってきて、行ってみたい!とすごく思いました。

作者の吉田修一さんも、実際に台湾が大好きだそうで、

「これまでの小説と違って、今回は食べ物1つ、登場人物の性格1つとっても、僕の好きなものだけを書きました。僕は経験主義者ではないですが、例えば、外国に1人でも友達がいれば、その国の見方がガラッと変わりますよね。同じように、この小説の登場人物に会いに行きたい、そうでなくても、台湾の美味しいものを食べに行きたい、台湾の温泉に入りに行ってみたい、と思ってもらえたら嬉しいです」

<吉田修一インタビュー>新しい日台関係を描いた小説の誕生

とインタビューで語っています。

日台共同制作でドラマ化

この作品は、NHKと台湾のテレビ局との共同制作でドラマ化され、2020年5月に放送されました(全3回)。

残念ながら私は放送が終わってからこの作品のことを知って小説を読んだので、ドラマは見ることができていません。。再放送に期待したいと思います。

公式サイトに寄せられた感想を読むと、絶賛の声が並ぶ中に、「3回のドラマでは短すぎる・・・」「ドラマより原作の方が細かい描写があってよい」という声もありましたので、ドラマを見てよかったなあと思った方も、ぜひ原作をお読みになるとよいのではないでしょうか。

まとめ

吉田修一さんの小説「路(ルウ)」を読みました。

平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』が好きな方はたぶん好きだと思います。

台湾に日本の新幹線が走っている。

そのプロジェクトの裏側を知るだけでも十分ドラマのある話ですが、そこに関わる人たちの、それぞれの物語に胸が熱くなる小説でした。

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