【論文】早産児RSウイルス予防のための単回投与ニルゼビマブ

Single-Dose Nirsevimab for Prevention of RSV in Preterm Infants

M. Pamela Griffin et al
N Engl J Med 2020:383;415-25
DOI:10.1056/NEJMoa1913556

目次

Abstract

Background
Respiratory syncytial virus (RSV)は乳児の下気道感染の原因として最も多いものであり、健康な乳児へのRSV感染予防が必要とされている。nirsevimabはRSVシーズンを通して1回の筋肉注射で乳児を守ることができるよう開発された、半減期延長型モノクローナル抗体である。
Methods
北半球と南半球の両方で行われたこの臨床試験で、早産(29週0日から34週6日)で生まれた健康な乳児におけるnirsevimabのRSVによる下気道感染症予防について評価した。我々は、乳児をRSV流行感染初期にnirsevimab 50mg/kg投与群とプラセボ群に2:1にランダムに割り付けた。プライマリーエンドポイントは接種後150日以内にRSVによる下気道感染(RSV-LRTI)で医療行為を受けたものとした。セカンダリーエンドポイントは接種後150日以内にRSV-LRTIで入院したものとした。
Results
2016年11月から2017年11月までのRSV流行感染開始時に、合計1453人の乳児がnirsevimab群(969人)とプラセボ群(484人)にランダムに割り付けられた。RSV-LRTIで医療行為を受けたものはnirsevimab群がプラセボ群よりも70.1%少なかった(2.6%(25人)vs9.5%(46人),95%CI, 52.3-81.2, p<0.001)。RSV-LRTIでの入院はnirsevimab群がプラセボ群よりも78.4%少なかった(0.8%(8人)vs4.1%(20人), 95%CI, 51.9-90.3, p<0.001)。この差は、接種後150日間を通して、地理的条件やRSVのサブタイプにかかわらず認められた。有害事象は2群間で同等であり、明らかな過敏反応はみられなかった。
Conclusions
nirsevimabの単回投与は、RSV流行期間を通して健康な早産児においてRSV-LRTIでの医療行為と入院をプラセボ群よりも減少させた。

Background

早産児、早産児の慢性肺疾患、先天性心疾患、ネイティブアメリカンの健康な正期産児は、RSVによる下気道感染のハイリスク群です。

RSV感染時の重症化を予防するために、現在日本では、最初のRSV流行シーズンにパリビズマブというモノクローナル抗体を月1回筋肉注射する、というのが保険適用となっています。

ただ、そのために毎月病院に通って筋肉注射するのは家族も本人も医療機関もたいへんなので、もっと長期間効果が続く製剤はないかなあと思っていたところに、この、1回筋肉注射すればそのシーズンずっとカバーできます、というニルゼビマブの臨床試験が始まったというものです。

今回の後期第Ⅱ相試験は、健康な早産児(29週から34週出生)を対象としており、RSVによる下気道感染での受診や入院を減らし、有害事象は変わらない、という結果でした。もっとハイリスクな症例に対しては、従来の月1回投与のパリビズマブのほうがいいかもしれない、とこの論文には書かれています。

あと、個人的に驚きだったのは、「ネイティブアメリカンの健康な正期産児」がRSV-LRTIのハイリスク群だということです。知らなかった。。

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