【レビュー】『ネガティブ・ケイパビリティ』帚木蓬生

コテンラジオつながりで聴くようになったポッドキャスト『超相対性理論』で紹介されていたので読みました。

ネガティブ・ケイパビリティとは、1800年代のイギリスの詩人キーツが提唱した概念で、精神科医ビオンにより再評価されたことで大きく注目を集めるようになりました。

本書は、精神科医であり小説家でもある帚木蓬生さんが、自分の専門分野と絡めてこのネガティブ・ケイパビリティの大切さについて書かれた本です。

読みながらマインドマップにまとめてみました。

本書には、ネガティブ・ケイパビリティとは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」と説明されています。

私たちは、「わからない」状態は落ち着かないので、何か答えを出そうとします。自分の中でとりあえずの結論を出して、行動することで落としどころをつけようとします。

ですが、この世の中には「わからないものはわからないままに」自分の中に留めておいた方が良いこともたくさんあります。著者はこれを「持ちこたえる」と表現していましたが、すぐに答えを出したり、解決しなくても、わからないままに自分の中に持っておくことで、未来への力になることもあるし、いつか答えが出ることもあるかもしれない。

答えを出せなくてもいいんだよ、と言ってもらったようで、とても心が楽になりました。

オウム真理教などの新興宗教にエリートたちが入るのはなぜかを知りたくて読んだ森岡正博さんの『宗教なき時代を生きるために』にも、「生きる意味は何か」「死んだらどうなるのか」「なぜ自分たちは生まれたのか」という根源的な問題を考えるとき、明確で絶対的な真理を求める人は宗教に走る。宗教を信じられない人、科学的に考える人はそのような疑問については考えることをやめてしまう。

現代はこのどちらか二択である。でも、その二択しかない社会って残念なんじゃないか。わからないものはわからないままに、みんなで一緒に考え続けられるような社会を作れないだろうか、というようなことが書かれていました。

私はすごく共感して読みました。私は、宗教的な真理は受け入れられず、無意識にこのような根本的な問いについては考えるのをやめてしまった人間です。でも、このような問いは心のどこかに置きつつ、みんなで緩やかに考えられる社会というのもいいのかなと思いました。

ポッドキャスト『超相対性理論』は、出演されている3人の知性がすごすぎて、毎回すごく刺激を受けています。(メモとりながら聞いています笑)

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