【論文】妊娠中の高用量ビタミンD投与が児に与える影響

Effect of High-dose vs Standard-Dose Vitamin D Supplementation in Pregnancy on Bone Mineralization in Offspring Until Age 6 Years
A Prespecified Secondary Analysis of a Double-Blinded, Randomized Clinical Trial
Nicklas Brustad et al.
JAMA Pediatr. 2020;174(5):419-427
DOI:10.1001/jamapediatrcs.2019.6083

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Abstract

重要性:いくつかの研究は妊娠中の母体ビタミンDレベルと児の体格、骨ミネラル化との関連を示唆している。しかし研究数は少なく結果は混在している。
目的:妊娠中の高用量vs標準量のビタミンD投与が児が6歳になるまでの体格、骨の予後に与える影響を調査すること。
デザイン:623人の妊婦と584人の児を含む小児喘息2010年母子コホートについてのコペンハーゲン前向き研究における二重盲検RCTの事前分析。データは2019年1月から2019年9月の間に解析された。
介入:妊娠24週から産後1週間までビタミンDを2800IU/day (高用量)vs 400 IU/day(標準量)投与した。
Main outcome:6歳までの身長、体重、BMI、DXAによる3歳と6歳における骨ミネラル量(BMC)と骨密度(BMD)を縦断的に評価。
結果:6歳において517人の児(89%)が臨床的フォローアップを完了した。ずべての参加者はデンマーク人で白人だった。261人は男児で256人は女児だった。3歳と6歳のDXAの混合効果モデル解析では、ビタミンD群はプラセボ群と比べて体全体のBMCが高かった。年齢、性別、身長、体重で調整した平均差は11.5g(95%CI, 2.3-20.7; p=.01)、whole-body-less-head BMCの調整平均差は7.5g(95%CI, 1.5-13.5; p=.01)、head BMDの調整平均差は0.023g/cm2(95%CI,0.003-0.004; p=.03)ビタミンD群で高かった。最も大きな効果はビタミンD欠乏の母(25(OH)D<30ng/mL)と冬生まれの群でみられた。事後分析で、ビタミンD群で骨折発生が少なかったが、体格においては差はみられなかった。付随して調整したω-3多価不飽和脂肪酸調査では結果は変化しなかった。
結論:妊娠中の高用量ビタミンD補充は6歳までの児の骨ミネラル化を標準投与群に比べて改善する。妊娠中の投与量を増やすことで、peak bone mass、骨折リスク、将来の骨粗鬆症リスクを改善するかもしれない。体格への影響はみられなかった。

Background

ビタミンDの主な作用は、腸管や肝臓でカルシウムとリンの吸収を促進することである。ビタミンDが欠乏すると石灰化障害(小児ではくる病、成人では骨軟化症)が惹起される。ビタミンD不足は骨折リスクであることを示す報告が増加している。

長野県でのコホート研究で25(OH)D<25ng/mLでは骨折の相対危険率は2.20だった。ビタミンDは食品からの摂取以外にも、紫外線作用下で皮膚においても産生される。

血清25(OH)Dは食品からの摂取と紫外線による産生を合わせた、生体のビタミンDの優れた指標であるとして、ビタミン摂取量ではなく血清25(OH)D濃度に基づいて策定が行われた。25(OH)Dが12ng/mL未満ではくる病のリスクが増大する。20ng/mLで最大効果が得られるとされる。

アメリカの栄養所要量
米国科学アカデミー医学研究所の食品栄養委員会(FNB)が設定した食事摂取基準(DRIs)

微量栄養素情報センター
https://lpi.oregonstate.edu/jp/mic/ビタミン/ビタミンD

血清25(OH)D濃度と健康

厚生労働省『「統合医療」に係る情報発信等推進事業』
https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/17.html

Summary

ビタミンDは骨代謝に関わる以外に、最近では気管支喘息、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患との関連など、注目されている栄養素です。脂溶性ビタミンなので多量摂取を続けると過剰症になります。過剰摂取による健康障害は高カルシウム血症が指標となります。とくに乳児では多量のビタミンD摂取によって成長遅延が生じる危険があります。

新生児領域でも重要なビタミンで、早産児に未熟児くる病予防のために投与します。切迫早産や前期破水などハイリスク妊婦では、長期入院となることも多く、母体の日照暴露不足が児に影響しないのか、気になるところです。

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