【論文】早産児に対する母乳強化開始時期

Early versus Delayed Fortification of Human Milk in Preterm Infants: A Systematic Review
Wesam Alyahya et al.
Neonatology
2020;117:24-32
DOI:10.1159/000501279

目次

Abstract

早産児に必要な栄養素を補うため、搾母乳に母乳強化剤を添加することがよく行われている。最適な母乳強化の導入時期は明らかでない。

このシステマティックレビューの目的は、極低出生体重児に対する早期母乳強化(EF)と遅い母乳強化(DF)の短期アウトカム(成長、栄養供給不耐、入院期間、退院時の成熟度)を比較することである。

調査は2019年3月までの5つの電子データベース(Pubmed、Ovid Medline、Web of Science、Ovid Embase、the Cochrane Library)を用いて行われた。搾母乳のみまたは優先的に使用した1500g未満出生児へ栄養強化剤を早期に開始した群と遅く開始した群とを比較するランダム化比較試験を対象とした。4人の著者が文献の適性をそれぞれ独立してスクリーニングした。1972の論文がスクリーニングされ、2つの論文が基準を満たした。その論文に含まれる患者数は171人だった。EFとDFの定義は2つの論文で異なっていた。すべてのアウトカムに対するEFとDFの明らかな影響は認められなかった。

結論として、現在のデータは限定的で、最適な母乳強化開始時期に関するエビデンスは提供されなかった。EFとDFの定義には合意が必要であり、さらに大規模なランダム化比較試験が求められる。

Background

対象となった2つの論文におけるEFとDFの定義

①EFは20ml/kg/dayでスタート、DFは100ml/kg/dayでスタート
②EFは初回授乳からスタート、DFは75ml/kg/dayでスタート

結果

体重・頭囲・身長の増加、栄養不耐、入院期間、壊死性腸炎、敗血症の頻度に差は認めなかった。

強化母乳栄養について

早産児の栄養として母乳は発達面でも壊死性腸炎のリスク軽減など多くの利点があります。しかし、体重あたりの栄養必要量が多い極低出生体重児においては、母乳単独では栄養が不足するので、母乳強化パウダーを添加して栄養を補います。

母乳強化の開始時期は日本ではミルク量が100ml/kg/dayを超えたらスタートすることが多いかなと思います。あまり早期に始めるとおなかが張ったり壊死性腸炎のリスクもあるからです。この論文を読んで、早期開始群は初回授乳から母乳強化するとあったのでびっくりしました。壊死性腸炎は増加してませんでしたが。逆に言うと、体重増加や入院期間にも差はなかったので、早く始めたからといって体重がよく増えて子宮外発育遅延(EUGR)を防げるというものでもないようです。

このようなネガティブデータは心情的に論文にしにくいですが、後々の知見集積のためには重要と思います。

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