【論文】不適切な養育の周産期要因

Perinatal Determinants of Child Maltreatment in Japan
Haruna Kawaguchi et al.
Frontiers in Pediatrics
15 April 2020
DOI: 10.3389/fped.2020.00143

目次

Abstract

Background:不適切な養育は、子供時代から大人にかけて重大な健康上の問題を引き起こす。不適切な養育を防ぐためには、早期介入のための周産期リスクファクターを明らかにすることが重要である。この研究で、不適切な養育に関係する周産期リスクファクターを調査した。
Methods:母子手帳から得られる周産期情報を比較するケースコントロールスタディを行った。ケースとして2つの児童相談所に登録された子供たち、コントロール群として、母子手帳の情報を含むアンケートに回答が得られた大阪府の3歳児を抽出した。周産期要因と不適切な養育との関係を、多重ロジスティック回帰分析を用いて評価した。
Results:70のケースと345のコントロールが集められた。不適切な養育に関係していた周産期要因は、10代の妊娠、母体年齢20−24歳、父が母より10歳以上年上、未婚、母の精神疾患、初回妊婦検診が妊娠20週より遅い、妊婦検診の回数が少ない、低出生体重児、先天性疾患であった。
Conclusion:若い母親、父が母よりずっと年上、未婚の母、母の精神疾患、初回妊婦検診が遅い、低出生体重児や先天性疾患のある児が不適切な養育と関連していたことが明らかとなった。これらの知見は、不適切な養育のリスクが高い家庭を妊娠中および出産後に見つけるのに活用できる。

Background

不適切な養育、児童虐待は、残念ながら今もゼロにはなっていません。ときには子供の命に関わる重大な事件も起こっています。

ハイリスク家庭を早期にピックアップし、適切な介入を行い、不幸な事件を未然に防ぐことが重要です。

早期にハイリスク家庭を見つけ出すことができるよう、不適切な養育に関連する周産期リスク要因を明らかにしようとしたのがこの研究です。

結果として、母親の年齢が若い(10代の妊娠、20−24歳ともにハイリスク)、父が母よりずっと年上、未婚、母の精神疾患などの背景要因、初回妊婦検診が遅いという妊娠要因、低出生体重児や先天性疾患などの児要因が明らかとなりました。

たいていは、まあそうだろうな、という要因ばかりですが、「父が母よりずっと年上」という項目が入っていたのは意外でした。年上の父が初婚か再婚かでも変わってくるだろうが、今回その情報は得られていない、と本文には書かれています。

child abuseとmaltreatment

一般的に日本では「虐待 abuse」と言いますが、これは子育てに苦悩して、解決策が分からず子供に手をあげたりきつい行動を取ってしまう親に対しては厳しい表現です。そこで、専門家の間では、「不適切な養育 maltreatment」という言葉を使う方がよいのではないか、という意見も出ているそうです。

子ども虐待防止 オレンジリボン運動
https://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php

Summary

不適切な養育のハイリスク家庭を早期にピックアップし、介入する。早期発見のための周産期要因を調べた日本の論文でした。

日常にすぐ活かせるような論文だと思います。

また、情報収集に母子手帳を使ったのも日本らしさが出ていていいと思いました。逆に、母子手帳に書いてある内容しか収集できなかったのがこの研究の限界でもあると著者も書いていましたが。

不適切な養育を防ぐためには、病院と行政との連絡がとても大事です。

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