【論文】先天性中枢性低換気症候群 (CCHS) の神経発達予後と呼吸管理

Neurodevelopmental outcome and respiratory management of congenital central hypoventilation syndrome: a retrospective study
Tomomi Ogata et al.
BMC Pediatrics(2020)20:342
DOI: 10.1186/s12887-020-02239-x

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Abstract

背景:Congenital central hypoventilation syndrome (CCHS、先天性中枢性低換気症候群)は、睡眠時無呼吸を特徴とするまれな疾患である。低酸素はしばしば生後すぐに起こるため、低酸素による中枢神経合併症を防ぐことが重要である。しかし、CCHS患者の呼吸管理と知的発達との関係はよく分かっていない。
方法:我々は日本においてCCHSの後方視的チャートレビューコホート研究を行った。発達予後のリスク及び予測因子を調査し、疾患の症状、診断、合併症、治療について調べた。
結果:123名のCCHS患者を調査し、88名が6歳以上であった。彼らを知能指数により2群に分けた。生後3か月以内に気管切開をして陽圧換気を行った患者は、生後3か月以降に気管切開をした群、マスクによる換気を行った群と比較して発達予後がよかった(OR=3.80; 95%CI: 1.00-14.37, OR=4.65; 95%CI: 1.11-19.37)。運動発達については有意な差はみられなかった(p=0.64)。
結論:CCHS患者の最も良い呼吸管理は、理想的には生後3か月以内に気管切開をして換気を行うことである。

Background

先天性中枢性低換気症候群(Congenital Central Hypoventilation Syndrome: CCHS)は、呼吸中枢の先天的な障害により、新生児期から睡眠時に低換気をきたす疾患です。呼吸中枢の障害に対する根本的な治療はないため、早期から適切な呼吸管理をすることが重要です。

2003年にPHOX2B遺伝子異常が病因であることが明らかになりました。発生率は20万人に1人と言われています。

診断は、スリープスタディなどの呼吸生理学的診断と、遺伝子学的診断となります。合併症についてはこの論文でも調査が行われており、もっとも多い合併症はHirshsprung病(43%)、次に多いのがてんかん(18.7%)でした。

治療としては、気管切開を行っての人工呼吸器管理や、フェイスマスク型などを用いた非侵襲的陽圧換気、横隔膜ペーシングなどが行われます。

近年、疾患が認識されてきたことや、在宅での人工呼吸器管理の進歩に伴い、適切な治療を行うことで生命予後は改善してきていますが、低酸素が続くことによる知的発達への影響が注目されています。この研究では、知的発達予後に注目して調査し、早期に気管切開を行い人工呼吸器管理を行った方が発達予後がよいということが明らかになりました。

この論文のLimitationとして、知的発達予後不良群に分類した88人のうち、知能検査で判断(IQ<75)したのが35人、特別支援学校や特別支援級に通っていることで判断したのが53人、であったことから、知能障害の定義や程度を正確に判断するためにはさらなる研究が必要である、と述べられています。また近年、CCHS患者ではMRIで海馬や視床前部の損傷が指摘されており、MRIを用いた知的発達の評価も必要と考えられます。加えて、この論文は日本での研究のため、別の人種ではどうか、医療体制や技術の違いによる影響はどうか、については評価できていない、ということも挙げられていました。

参考:先天性中枢性低換気症候群 概要ー小児慢性特定疾病情報センター

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