本棚を見ればその人が分かる、と言うように、何回も読み返したい大好きな本を並べると、その人がどんな人かなんとなく分かるのではないでしょうか。
そこで、自己紹介代わりに私の大好きな小説を並べてみたいと思います。
『ペンギン・ハイウェイ』森見登美彦
小学5年生のアオヤマくんの街に突然ペンギンが現れる。歯科医院のお姉さんがペンギンに関わっているらしい?大好きなお姉さんを救うために必死で頑張るアオヤマくん。最後にちょっと大人になったアオヤマくんの姿に、母親目線で読んでいた私は一抹の寂しさを感じてしまいました。
Audibleに加入している人は、ぜひオーディオブックでも聴いて欲しい!安國愛菜さんのナレーションが最高です。好きすぎて紙の本とKindle、オーディオブックに映画のBlu-rayとコンプリートしました。
『砂漠』伊坂幸太郎
伊坂作品の中で『砂漠』が一番好きです。仙台の大学生のまさに青春という感じで。とくに西嶋がいいですね。西嶋が、もしもタイムトラベルで過去に行ったとして、例えばその当時に存在しない抗菌薬を使うと歴史が変わってしまうからダメだとかいう意見に対して憤慨した場面での次のセリフが大好きです。
あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。歴史なんて 糞食らえですよ。目の前の危機を救えばいいじゃないですか。今、目の前で泣いてる人を救えない人間がね、明日、世界を救えるわけがないんですよ。
『砂漠』伊坂幸太郎
『獣の奏者』上橋菜穂子
ファンタジー小説は実は苦手で、架空の世界観になかなか入れないのですが、上橋さんの作品は不思議なことにスッと入れます。文庫本で全4巻と結構長いですが、おもしろくて一気読みでした。その他、『鹿の王』『精霊の守り人』もおもしろかったです。とくに『鹿の王』は医術師の話なので職業柄引き込まれるところがありました。
『ねじまき鳥クロニクル』村上春樹
村上春樹は昔から大好きで、ほぼ全作品を読んでいますが、小説の中では、『ねじまき鳥クロニクル』が一番ですかね。どこがどうよかったというのも難しいのですが、この作品の「井戸」や「壁抜け」のイメージは強烈でした。ストーリーを説明するのは難しいけど、何か強烈なイメージが残る、力のある小説だなと思っています。
村上春樹作品では、長編小説の他に、『スプートニクの恋人』や『国境の南、太陽の西』など、それほど長くない中編小説も好きです。短編集なら『象の消滅』という、アメリカで最初発売された短編集の日本語版(逆輸入版みたいな)が一番。装丁も美しいです。
『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩
梨木香歩さんの小説も好きです。静かでちょっと不思議な世界観。派手ではないけど自分を持っている女の子が出てくるような。この『村田エフェンディ滞土録』はちょっと雰囲気が変わっているかもしれませんが、私はこの作品が一番好きです。表紙も可愛くて好き。
時代は約100年前。トルコのイスタンブールに留学中の村田青年は、下宿で一緒のトルコ人たちとハプニングがありつつも賑やかで楽しい日々を送っていました。そんな中、政情が不安定になってきて村田青年に帰還命令が。多様性、人と人とのつながり。『家守奇譚』の主人公と友人同士、というリンクもあって楽しめます。
繰り返し出てくる次の言葉が印象に残っています。古代ローマの劇作家テレンティウスの作品に出てくる言葉をセネカが引用したものだそうです。
私は人間である。およそ人間に関わることで私に無縁なことは一つもない。
『村田エフェンディ滞土録』梨木香歩
『マチネの終わりに』平野啓一郎
この本も大好きで、最初同僚に借りて読んで、めっちゃいい!と思って自分でも単行本を買い、さらにいつでも読めるようにKindleも買いました。大人の恋愛小説。詳しくは言えないけど、途中切なくてもう読めないと思うくらい諦めかけましたが、ラストに救われました。
人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?
マチネの終わりに
まとめ
私が繰り返し読んでいる大好きな小説をご紹介しました。ここにあげた小説の作者は、他の作品もよく読んでいる大好きな作家さんばかりです。とくに村上春樹さんについては、彼と同時代に生きて、彼の新作を読めることの幸せを毎回感じています。
内田樹さんが何かの本で書いていたのですが、いい本は読んだ人の体に影響を与える、と。読書って頭でするものと思いがちですが、本当に素晴らしい本は、読む人の身体に何らかの影響を及ぼす。確かにここに上げた本は、読んでいるときにドキドキして心拍数が上がったり、胸が苦しくなったり、涙が出たり、声に出して笑ったり、体に反応が出たものばかりです。
これからもたくさんの本との出会いがあると思いますが、たぶんこの本たちはずっと私の中にあり続けることでしょう。
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