【レビュー】『アジアNo.1英語教師の超勉強法』嶋津幸樹

教育関係の出版社ピアソンが選ぶ「ピアソン英語教育ティーチャーアワード2017」をアジア人で初めて受賞した、嶋津幸樹さんが、これまでの経験や英語の勉強法、そして今後のビジョンについて書いた本です。

Hibino’s Point
  1. やらされる勉強から、主体的な学びへ
  2. 人生の大きな目標のためには、勇気を出して進路変更することも大切
  3. 今の実力より少し難しいくらいのインプットをたくさんする
目次

「学びの主人公」になる

著者が本書を通して伝えようとしているのが、「学びの主人公」になる、ということ。

著者はカナダの親戚の家に遊びに行ったときに、その家の近くに住む日本人の少年が、現地の人と流暢な英語でしゃべっていたのを目の当たりにして、「すごい!かっこいい!自分もそんなふうに外国の人とコミュニケーションを取りたい!」と思ったことが英語学習に目覚めるきっかけになりました。

この出来事をきっかけに、僕にとっての英語は、「誰かに与えられた勉強」から「自ら学びたい言葉」へと変わっていきます。

はじめに

私が中学生・高校生だったときのことを思い出しても、受験勉強直前は具体的な目標をもって勉強しましたが、それ以外の時期の勉強は、とくに何がしたいというわけではなく、やるように言われているからやる、という意識だったように思います。

一方、大人になってからの英語学習は、誰に言われたわけでもないし、必要に迫られているわけでもない。「いろんな知識を得たいから、できるようになりたいから」やっています。学ぶのに年齢には関係ない、というのはこういうことだと思っています。

教えることで学ぶ

寺子屋式英語塾「密塾」

著者は、高校生だった17歳のときに、地元山梨で初めての英語塾を開きます。その名も「密塾」。あやしさ満点です(笑)。しかしその内容はとても真面目で、教育論としても筋が通っていたのがすごい。

お互いに教え合うことで、教わる側だけでなく、教える方の成績も上がっていったのです。一人で勉強しているときにも、人に教えるように「エア授業」をするといい、というのは聞いたことがあります。そのことにいち早く気づいて塾として実現していた高校生がいたことにまず驚きました。

青山学院大学に進学した著者は、山梨で2校、相模原で1校を経営し、大学の授業を受けつつ、3か所の塾を車で寝泊りしながら行き来するという生活を送ります。すごい体力。

オックスフォード大学院合格からの進路変更

でもそんな生活を送る中で、自分の英語力をさらにあげて後輩たちのロールモデルになりたいと思い、オックスフォード大学院への進学を目指します。必死で勉強して(IELTS7.5を取ります)なんとか合格。しかし、そこでの授業や学生たちのレベルの高さに、ここでは自分のためになる勉強ができないと考え、進路変更する決意をします。

私はこの章を読んで、次の2点において非常に感心しました。まず、塾の経営者としての地位も経歴もありながら、もっと勉強したい、と留学を決意したこと。そしてさらに、オックスフォード合格を目的とするのではなく、そこでどんな学びをするかをきちんと考え、その結果方針を転換したことです。

進路変更を決意した著者は、シェフィールド大学で国際英語教員資格CELTAを取得する6か月のコースを修了し帰国します。このコースを受講したことで、著者の今後の指導法、勉強法に大きなプラスになったことだろうと思います。それは次の勉強法の解説部分で詳しく語られています。

アジアNo.1英語教師が教える英語勉強法

著者が実際に行ってきた勉強法、そしておそらく大学院での勉強を通して学んだであろう方法論が非常にロジカルに書かれています。

とくに印象に残った部分をあげます。

「i+1」で大量のインプット

赤ちゃんが第一言語を習得するときには大量の言葉を浴びることで自然に、段階的に、複雑な文章を組み立てることができるようになります。それに対して、大人が第二外国語を学ぶときには、意識的な努力と大量のインプットが必要となります。

アメリカの言語学者スティーブン・クラッシェンが提唱した仮説に「インプット仮説」というものがあるそうです。

Wikipedia|インプット仮説

まったく理解できないレベルの内容をインプットするのではなく、「i(自分のレベル)+1」の内容を大量にインプットし、少量のアウトプットをする。これが言語習得の基本原理なのです。

第5章 僕はこうやって英語を学んできた

半強制的にリーディングの課題を課す

TOEIC900点以上、英検1級の人たちが声を揃えて言うのが、毎日英文に触れる、ということ。著者も、英語学習を習慣化することが大事、と言っています。中でもリーディングは唯一独学で飛躍的にスコアを上げることができる分野です。そのため、毎日英文を読むことが大事になってきます。

著者が勧める学習法は、英字新聞を毎週日曜日に7つ選んでプリントアウトし、曜日を書いた付箋を貼って、毎日一つずつ読むこと。まずは速読、そしてじっくり読む精読。それから多読。精読では、分からなかった単語や重要表現をすべて調べて、1日でA4用紙が自分のメモでびっしり埋まることを目標に。

私はちょうどこれと同じことをScientific Americanでやり始めたところだったので、これでいいんだ、と勇気が出ました。

「語源」と「コロケーション」

また、著者が単語を学ぶ際に重視しているのが、「語源」と「コロケーション」です。大量の単語をバラバラに覚えていくのではなく、ストーリーを作って仲間にしていくこと。私も意識してやってみたいと思います。

他にも、いろいろな学習に関する方法論が書かれていて、とても参考になりました。

まとめ

英語学習についての本ですが、英語に限らずあらゆる分野の勉強に当てはまる考え方が書かれていました。

私ももうアラフォーですが、自分が主役となって学びたいと思えば何歳からでも学べるはずです。そして、自分の言葉で自分の人生テーマを世の中に発信できるようになりたいと思いました。

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